第82章 今のお前を見るだけで吐き気がする

その言葉を聞いた瞬間、長谷川栞のただでさえ沈んでいた気分は、さらに底へ落ちた。

「いらない」

眉をきつく寄せる。中野航平は、いい加減に調子に乗りすぎだ。

彼の差し入れを口にしたのだって、あまりにしつこくて押し切られただけ。これ以上、互いの時間を無駄にしたくなかった。

最近、中野蓮に少しだけ柔らかい態度を見せたせいで、航平が何か勘違いしたのなら――悪いけど、それは自分が甘かった。

「お母さん、もう食べない。会社に着いたらデリバリー頼むから、心配しないで」

苛立ちを押し殺して長谷川明子にそう告げ、栞はそのまま外へ出た。

航平が立ち上がって追いかける。彼だって、栞が心配で早くから迎え...

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